5年間を振り返って
14-54とは、私たち株式会社Queen & Co. が2016年9月の創業時から本社を置く場所です。十和田の商店街に拠点を構えるにあたって、地元との接点となり、このまちで暮らす人たちが、何か新しいことに気軽に挑戦できる開かれた環境をつくりたい、という構想から、14−54は始まりました。また、私たちの理念である「世界をもっと、フラットに」のもと、世界と十和田をつなぐ場所であってほしいとも。14-54が当初から目指してきたのは、敷居が低く、新しくて創造的なアイディアに出合える場所であり、民間だからこその自由な運営です。
そんな14-54が目指す姿に、世代やバックグラウンドを問わず、多くの方が共感してくださりました。地元作家の展覧会から海外アーティストの招聘ライブまで、これまでに150を超えるイベントが14-54を舞台に行われました。総合病院の看護師グループがプロジェクターやマイクを使いながら勉強会をしたり、地元の高校生がカフェのキッチンを使って、”味効き”イベントを開いたり。トークショーや卓球大会といった企画もありました。
14-54を語る上で、アートも欠かせない要素となりました。一角にある十和田市現代美術館の蔵書を揃えた「まちなかライブラリー」では、放課後の高校生がアート本を広げたり、作品展示では、散歩中の親子がのぞいていったり。14-54で見かける風景は、ホワイトキューブでしか見られないようなものばかりがアートではなく、アートはもっと身近にあるものであることに日々気づかせてくれています。(過去のイベントはこちら)
名前のイチヨンゴーヨンは、住所の 「十和田市稲生町14番54号」に由来します。
これまで数々のイベントや展示が14-54を舞台に行われてきただけでなく、14-54そのものも挑戦をしてきました。例えば、14-54内で2018年4月にカフェを始めた中野渡夫妻。14-54は創業支援と位置づけ、起業から、経営、デジタルマーケティングの支援に加え、賃料の補助、厨房の貸し出し等で、2人の取り組みを応援してきました。14-54での経験を経て、2人は弘前市で念願の自分たちのお店を持つ夢を叶えています。
新たな活動も始まりました。14-54カフェは 新型コロナウイルスの影響で2020年に一旦休業を挟み、21年春のリノベーションを経て、14-54 ピッツェリアに生まれ変わりました。ピッツェリアでは、私たちのご近所吉田きみさんと、地元の北里大学の学生が働き、味の監修では、ハッピーツリーの天才シェフ飯田雄治さんや、イタリアナポリ出身のマリアーノ・ペロッツィーノさん(近く来日予定)が力を貸してくれています。
14-54のこれから
14-54の外へ目を向けると、戦後の高度経済成長の名残をとどめていた商店街のアーケードは解体が進んでいます。まちの景色が変わりつつある一方で、14-54はまちの歴史を刻む存在でもあります。かつては書店だった建物は、1960年代から70年代にかけての経済成長に伴い、木造から鉄筋コンクリート造への増築を繰り返し、その面影を今に伝えています。社会環境が大きく変わろうとするタイミングで、5周年という節目を迎えることに、14−54がこれから果たすべき役割を再確認しています。
日本の地方の多くが人口減少の課題に直面し、十和田市も例外ではなく、人口6万人を割り込みました。それでも、14-54は「サードプレイス」として、コミュニティをつなぐ存在でありたいと思っています。それも、楽しくて、意義のある、驚くようなやり方で。
14-54がこれまで非営利事業として成り立つことができたのは、コミュニティの理解と協力のおかげにほかなりません。この5年間、さまざまな形で私たちを支えてくださった全ての方へ、株式会社Queen & Co.を代表し、心から感謝申し上げます。14-54を身近に感じてくださりありがとうございます。これからも十和田のまちから、世界をもっと、フラットにしていきます。一緒に楽しんでいきましょう!