Yoshikazu Kamiakito

1982年十和田市生まれ。高校卒業後、仙台市の音楽学校に進学、自動車関連の仕事などを経て、28歳で帰郷.。 家業を継ぎ、現在農家10代目として「上明戸農園」を営む。りんごのほか、米や野菜の生産から、加工、販売まで幅広く手掛けている。

今回ご登場いただくのは、りんご生産者の上明戸好一さん。上明戸さんがつくるりんごは甘みが強く、その果汁100%のりんごジュースは14-54でも人気です。収穫最盛期を迎えたりんご園を訪ねました。

130本のりんごの木

14-54から車で15分ほどの場所にある上明戸さんのりんご畑。太陽の光を浴びて、真っ赤に色づいたりんごが実り、鮮やかな光景が広がります。約130本のりんごの木があり、「ふじ」「つがる」「王林」「紅玉」といった定番から「恋空」「紅の夢」「星の金貨」といった珍しい品種まで、10種類以上もの品種を手がけています。

葉とらずりんご

上明戸さんがつくるりんごの甘さの秘密は、生産方法にあります。その名も「葉とらずりんご」。生産の過程で葉っぱを摘み取らず、あえて残すことで、糖度を高める方法です。上明戸さんによると、実の色づきをよくするため、多くの生産現場では、葉の摘み取りが行われています。一方で、葉を摘み取ると養分が果実にいかなくなるため、糖度は落ちてしまうのだそう。

「市場に出すと、色づきがいい方が『おいしそう』と言われるが、本当においしい、甘いりんごをつくりたくて」と上明戸さん。収穫のタイミングにもこだわり、晩秋の寒さが厳しくなる直前まで収穫を待ち「味が乗るのを見極める」と話します。

真っ赤に色づいたりんご

りんごと言えば青森県ですが、県内でも一大生産地の津軽地方のりんごが有名です。一方で、上明戸農園がある十和田市は、南部地方。津軽と比べれば、その市場や生産の規模は小さいという現実があります。

「南部は市場が弱い。だから、付加価値が高いりんごを作っていく必要がある」と上明戸さん。葉とらずりんごにこだわり、一般の市場への流通ではなく、都内のマルシェに出店するなどし、独自の販路を増やしてきました。上明戸さんが葉とらずりんごを始めて12年ほど。口コミなどで全国にファンは広がり、収穫期には多くの注文が舞い込みます。

りんごがつないだ縁

上明戸さんのりんご畑を訪ねたこの日、ちょうど、地元の小学生が課外授業で収穫体験をしていました。

「お尻をお空に向けましょう!」と、上明戸さんからアドバイスを受けた子どもたちが、りんごを優しくもぎ取ります。りんごの種類、味や歯触りの違いを、子どもたちは、試食をしながら学んでいました。

子どもたちが試食した品種の一つ、果肉が赤い「紅の夢」

上明戸さんの活動は実に幅広く、りんごを給食に提供したり、木をライトアップして夜のりんご狩りイベントを企画したりなど、精力的です。

14−54とのつながりも、そんな上明戸さんの行動から生まれました。5年ほど前、十和田市内の居酒屋で飲んでいた上明戸さんが、たまたまその場に居合わせた14-54オーナーのアレックスに、「これ食べてみて」とりんごを勧めたのがきっかけ。「海外の人に、日本のりんごの感想を聞きたくて、俺がアレックスをナンパしたの」。上明戸さんが笑顔で振り返ります。

りんごの味に惚れ込んだアレックスは、14-54でも取り扱いを始めました。今では、上明戸さんのりんご100%果汁のジュースは人気メニューに。数種類のりんごをブレンドし、麻袋で丁寧に果汁を絞って作り、濃厚な味わいが特徴です。りんごとゴルゴンゾーラチーズのピッツァは、秋から冬の限定メニューで楽しめます。

期間限定メニューのりんごとゴルゴンゾーラチーズのピッツァ

「おいしいと言われるりんごを作っていきたい。葉とらずりんごは、色はまばらだが、味は断然違う。多くの人にこの味を広げていきたいね」と上明戸さんは話しています。

ピッツェリアのメニューはこちら